風邪の時に飲酒をすればアルコール消毒の効果は期待できる?

ウイスキーと本

「酒は百薬の長」ということわざがあるように、多くの人はお酒は薬にもなると考えています。
お酒にはアルコール(エチルアルコール)と呼ばれる有機物質が含まれていて、少量であれば人体に害を及ぼしませんが殺菌効果があります。
このため、医療用の消毒剤にも高濃度のエチルアルコールが含まれています。

風邪にかかると喉の奥の方にある扁桃腺にウイルスが感染して、炎症を起こす場合があります。
風邪をひいた時に扁桃腺が細菌に感染して、扁桃炎になってしまうケースもあるほどです。
殺菌効果のあるアルコールを含む飲料を飲めば、扁桃腺の消毒ができると考えている方がいるようです。
お酒の中にはアルコール度数が高い蒸留酒があり、40度の焼酎やウイスキーを飲めば消毒ができて病気の治療ができると思っている人は少なくありません。

一般的にアルコール消毒ができるエタノールの濃度は70℃以上で、消毒アルコールには80%前後の高濃度のエタノール水溶液が含まれています。
アルコール度数が40%前後の焼酎やウイスキーなどの蒸留酒では、消毒アルコールのような消毒・殺菌効果は得られません。
高濃度のアルコールを口に含むと口内細菌を減らす効果がありますが、アルコール飲料程度の濃度であれば殺菌効果は非常に弱いです。

海外には、アルコール濃度が70℃を超えるような強い蒸留酒(ウォッカなど)が存在します。
アルコール度数の強いお酒でも飲酒をするときに唾液でアルコール分が薄まるのでアルコール消毒の効果は期待できません。

蒸留酒などのように度数の高いお酒を飲酒すると、喉が焼けるような感覚を感じる場合があります。
それでもお酒に含まれているアルコール濃度が低い上に唾液で薄まるので、細菌やウイルスが減る効果はほとんどありません。

風邪をひいた時に飲酒をしても消毒効果が期待できないので、喉の痛みが改善されることはありません。
風邪による喉の痛みを緩和させるためには、消炎鎮痛剤を服用することが大切です。

風邪の時に飲酒をすることが良くない理由

アルコール飲料にはウイルスや細菌に対する殺菌効果が期待できなくても、体を温めるために飲酒をすると良いと考える方がいます。
アルコールには血管を拡張する作用があるので、体温を上げる効果は期待できます。
ただし風邪をひいて熱が出ている時に飲酒をすると、体に良くない場合があるので注意が必要です。

飲酒をすると体が温かくなりますが、体温を上昇させたりエタノールを分解するために余分のエネルギーを消耗してしまいます。
発熱して食欲がない時にお酒を飲む行為は体に大きな負担をかけてしまい、病気を治りにくくしてしまう恐れがあります。

飲酒をすると体温が上昇しますが、体の中で起こっている炎症を悪化させる作用があるので注意が必要です。
風邪やインフルエンザにかかると、喉の奥にある扁桃腺や脇・関節などが腫れて痛くなることがあります。
喉や関節の痛みの原因は、炎症によるものです。
このような時にアルコールを摂取すると炎症が悪化してしまうので、喉や関節の痛みが強くなってしまう恐れがあります。

風邪薬の中には、炎症を抑える成分が含まれています。
風邪薬とお酒を一緒に飲むと、アルコールが薬の成分に作用して薬効が弱くなったり副作用が強くなる恐れがあります。
アルコールによって薬の副作用が強くなり、強い眠気や精神運動機能低下などの恐ろしい症状が出るケースも考えられます。

風邪をひいた時に飲酒をしても消毒・殺菌効果が得られないだけでなく、体力を消耗させてしまいます。
アルコールにより、喉や関節の炎症を悪化させてしまう恐れもあります。
これらに加えて薬の副作用が出る危険性もあるので、病気が治るまではアルコール飲料を摂取しない方が良いでしょう。